2011-04-07 『ミニコミ2.0』の衝撃と『未来回路』について。

「マスコミ」も「ミニコミ」もこれからのコンテンツ産業を考えるにあたって必読の書なのではないでしょか。これだけ豪華な論客たちの議論をぶれない軸で編集しています。いわゆる素人っぽい甘さを一切感じさせません。ほんとうにすばらしい。大袈裟な表現になるけれども、「マスコミ」と「ミニコミ」の双方にとってメタ的にすら機能しうるコンテンツのように思えました。


と同時に、僕の主宰する「未来回路」の方向性も再確認を迫られます。
特にコンテンツの選定の基準と紙媒体で出すということについて。

「未来回路」におけるコンテンツの選定は、ネットにおける「場」の活性度によるところが大きい。
何故にそこを一つの基準にするのかというと、その辺はゆるくなりつつあるとは思いますが、いわゆるマスメディアとネットとの間の情報にはかなりの落差があり、相互の関係がいまだに上手く有機的に構築できてないと思うからです。つまりまだ、ハブが足りてない、と考えています。

ハブとして機能させることは様々なメディアでされていることですが、例えば『.review』だと若手の物書き(特に院生や研究者)とコンテンツ業界のハブとしてのコンセプトが強いし、「新文学」はやはりイデオロギー色というかサブカル色が濃いと思います。
そこで「未来回路」がどのようなハブを演じるかというと、紙の出版業界とネットの中で見え隠れしている面白そうなものを繋ぐということです。それを例えば、ゼロ年代のオタクカルチャーに代表させるようなコミュニティの内向きの盛り上がりだけには済ませずに、異なるコミュニティとも関係の構築を考える。そうしないと、一過性の盛り上がりに過ぎなくなってしまう可能性があるから。
大きなメディアが取りこぼしそうで、これまでの価値観では評価されにくいようなものでも、どのような評価が可能であり面白さがあるのかということをプレゼンする「場」。それが「未来回路」というメディアでやりたいことです。
そこに僕個人が「面白い!」と思うものを加味して、テーマに沿って編集する、と。そして、ソーシャルメディアとかにそんなに詳しくない人でも手にとって読んでもらえるように考える。

あと、紙媒体で出版する理由ですが、僕が今のところ紙にこだわっているのはその方が誤配可能性を高めるのに有効なところがあると考えるからです。書店に置かれたりアマゾンで検索に引っかかるようにする。その本から既存の出版業界がリンクを貼ってない様なところにリンクを貼っていく。そんな感じ。


と、自分のところのことは置いといて、
いやしかし、今回は驚かされました。

この本の製作者である『界遊』はこれから主にウェブを中心に活動を展開されるということですが、たまにでもこのような形で紙媒体での出版をしてくれたらなぁと思います。

だってこんな本、今まで誰も作れなかったじゃないですか。僕にとっては『思想地図β』の成功と同じくらいの衝撃を受けました。ほんとに。