ちょこっとメモ「Light Insight 拡張する光、変容する知覚」 i n ICC

舞台芸術の演出の可能性が広がりそうな作品たち。
特に物理的空間(XYZ軸の存在する三次元)をともなう作品(つまり空間を演出する作品)が「変容する知覚」というタイトルに説得力を与えていた印象を受ける。
ウェブや2次元が発達してきて、それがさらに3次元の表現技術の開発へと領域を広げていく、という感覚。。
この分野が面白くなってくるのはこれからだという予感させる作品展でした。

【12作品の中から3作品のメモ】

・《思考プロジェクター》 2007年 エイリアン・プロダクションズ

「発明家のニコラ・ステラが1933年に語った「体験者の思考を(網膜を通して)撮影するカメラ」、という実現されなかった構想に触発されたインスタレーション作品。体験者は、自身の眼の表面と眼底の高解像度画像を、正面の壁に拡大されたプロジェクション映像として見ることにある。この画像は、アーティストがあらかじめ制作した映像アーカイヴとアーヴァーラップしながら左の壁にプロジェクションされる、という3段階のプロセスを辿る。」

ウェブサイトから眼の写真に、画像がオーヴァーラップする「思考写真」を見ることが出来る。そこでコメントを記入すると、ウェブ上と会場に表示される(ニコ動の影響か?!)。

・《PRINTED EYE (LIGHT)》 1987−2008年 藤本由紀夫

「体験者が自分の目に向けて網膜に弱いストロボ光を発することで、文字の残像を作品として体験させるもの。今回は「Light」(光)という言葉が、光による非物質な体験として体験者それぞれの網膜上に知覚されることになる。眼球に直接文字を焼き付けることで成立する、他者とは共有できないパーソナルな体験としての作品。藤本は「眼をとじても、みえてしまい、やがて消えていく文字、それは音を聴くことににている」と述べている。」

・《You and I ,Horizontal》 2006年 アンソニー・マッコール

「空間に入ると観客は、光による被膜のような非物質的な立方体に遭遇する。この立方体は、微細なミストにプロジェクターからの光をあてることで実現させたものである。壁面には、ラインによるドローイングが見た目には変化がないほどゆっくり描かれ続け、それが空間においては、次第に形態や空間性を変容させる三次元の非物質的「彫刻」としてあらわれている。観客は一種触覚的にも感じられる「彫刻」の内外を自由に行き来することで、異なる知覚体験に開かれるとともに、「作品」の一部として「彫刻」そして空間性に影響を及ぼしていく。70年代初頭の実験を、現代の機器によってインスタレーションとして実現。」