【広告】メールマガジン『新大学01』配信開始!

僕も寄稿させていただきました。
よろしかったらどうぞ。。

下記、転載。


このたび、文芸空間社では、メルマガ『新大学』を配信することになりました!
批評誌『新文学』の兄弟誌にあたるメールマガジンです
メルマガ『新大学01』は、一部250円になります

・文芸空間社購買部
http://matudairayamame.cart.fc2.com/

からご購入いただけますので、皆様ぜひお手にとってくださいませ!


・ご注文の流れ
ショッピングカートからご注文後、振込先口座番号と共に注文内容確認のメールをお送りします

・お支払方法について
ご面倒で申し訳ございませんが、お支払方法は銀行振込(三菱東京UFJ銀行)のみ、手数料お客様負担となります
予めご了承ください

★★『新大学01』のトピックス(全70000字程度)

一、【はじめに】松平耕一
「メルマガ『新大学』発刊宣言」

二、【座談会】藤田直哉、塚田憲史、シノハラユウキ、
                      杉田俊介、松平耕一
「限界フリーターがライトテロル渦巻く10年代をサバイブするレディオ
――『筑波批評2009夏』、『新文学02』、
        『社会は存在しない』について」(22000字程度)

三、【評論】辺見九郎
決断主義からリベラル・アイロニズム
   ――ネットコミュニティの多元主義の変容――」(3500字程度)

四、【評論】工藤伸一
「萌えロティック・性くノフィリア
    〜アクトロイドは無料動画の夢をみるか?」(12000字程度)

五、【インタビュー】タニット、ぱぃろ
          (聞き手:松平耕一、翻訳・企画協力:白石昇
「タイ国美少女ゲーム『Re Angel』スタッフインタビュー
  ――ノベルスゲームは国際社会に隆盛しゆくか」(10000字程度)

六、【評論】中川康雄
     「アナキズムと生態系の想像力」(6500字程度)

七、【小説】章
      「椅子」(14000字程度)

一┃【はじめに】 メルマガ『新大学』発刊宣言 / 松平耕一

 私たちはここにメルマガ『新大学』を創刊する。本誌はその名のとお
り新たな大学たらんとする批評メディアとして、不定期の配信を行う。
ゼロ年代において、しばしば理性の敗北が語られた。あいつぐ論壇誌
廃刊にアカデミズムの機能の失効。理性を超える事態が生じ、十年昔日
の議論が生産なく繰り返される。

 理性は状況に対し、永遠に敗北し続ける。だが、踏みつけられ押し潰
され跡形もなく消し砕かれた理性は、繰り返し、アスファルトの割れ目
から芽吹くのである。永遠の壁のごとき状況と、無限に自発する理性。
二つの争いは、今、ネットカルチャーの上に、その姿を顕現させている
。ネットに自生した理性の塊を、ある種の「大学」にたとえることもで
きる。今、ネットを舞台とした「新大学の遍在化運動」が自発的に生じ
ている。新大学は世界の良識、世界の生徒会を自認し、無限の理性の肩
を持ち、これを拾い上げ、推し進める。

 新大学の遍在化を行うための運動体たるメルマガ『新大学』は、私が
編集を務め、すでに刊行している批評誌『新文学』と、その内容の多く
を同じくすることになるだろう。メルマガ『新大学』のコンテンツは、
再編集と選考を経たすえ、批評誌『新文学』に再掲載される。デジタル
コンテンツは紙媒体に対して、速報性が高く分量が詰め込める。メルマ
ガ『新大学』では、多くの寄り道や無駄なものを、あえて掲示すること
になるかもしれない。一方、紙媒体たる『新文学』は、全体としての一
覧性と一貫性が重視され、『新大学』より内容が切り詰められ、圧縮さ
れたものとなるはずだ。雑誌『新文学』はメルマガ『新大学』より一般
的なつくりになり、一方メルマガ『新大学』は専門的な内容を含むこと
になる。読者におかれては、どちらかだけを楽しんでいただいてもよい
だろう。

 文芸誌や漫画雑誌に、作家たちは連載を行う。原稿がたまったところ
で単行本が作られる。定期的に原稿の掲載される雑誌は、作家たちのペ
ースメーカーとして機能する。メルマガ『新大学』と、批評誌『新文学
』の関係性もこれと近いものとなる。同じコンテンツの別バージョンで
ある『新大学』と『新文学』は、二つで一つの兄弟である。それぞれの
メディアの特徴を生かしつつ、それぞれが展開していくことになる。ま
た、『新大学』は毎号、公開型の批評会を、ニコニコ生放送で配信した
形で行う。読者諸氏は、ぜひ、メルマガ『新大学』を読んだ上で、ニコ
ニコ生放送で配信される「『新大学』学会」をごらんになってほしい。
そして、ニコニコのコメントで「馬鹿」とか「死ね」とか書き込むとい
い。批判は、フィードバックして蓄積される。

 本誌の目的は、在野の批判精神の集積化である。ジャーナリズムと批
評の舞台は今、ネット上に移った。にも関わらず、そのことを未だ認識
できていない出版界・大学界には、制裁をなさねばならない。粉砕を否
定する思想は、結局のところ現状追認と諦めを自他に強いる奴隷精神に
ほかならない。『新大学』は、ネット上で始まった決起を拾い上げ、歴
史化する。ネットで活躍する論者たちを中心に、私たちが住む世界の状
況を歴史的、地理的かつ構造的に分析・批判し、世界の変革への戦略を
つくり出すことに寄与しうる、できる限り質の高い文章の掲載、論争の
場としてのメディアを制作する。執筆者・読者に呼びかけ知的交流を行
い、議論をさらに活性化させ、この世に広がる不公平を学術的に分析し
反革命権力への文学的粉砕を執行する、新世界の生徒会をつくりあげ
る。

 私たちは永遠の敗北のなかに閉じ込められてある。私たちは、繰り返
し絶望の淵へと追いやられる。しかし、敗北を認め、宣言せぬ限り、理
性は必ず蘇る。すべての希望が費え去ったのち、それでも、箱の底には
統制的理念としての革命が残る。無限の理性は、生きてあるために、状
況の変革を要請する。真の革命は、常に今、この場において始まろうと
している。私たちのこの新たなプロジェクトに多くの方が参集するよう
ここに呼びかけるとともに、このプロジェクトに対して読者・執筆者の
方々の支援をお願いする。世界を革命するために!

 ☆ ☆ ☆

 『新大学01』では、三篇の評論と一つの座談会、一つのインタビュー
と一つの小説をご寄稿いただいた。『新文学03』ではネットカルチャー
論を扱う予定であるため、『新大学01』もネット論を中心におさめてい
る。
 辺見九郎氏の「決断主義からリベラル・アイロニズムへ――ネットコ
ミュニティの多元主義の変容――」は、美少女ゲームを専門とし、長く
ネットウォッチをしつつ自身、論争にも関わった、辺見氏によるネット
論である。社会科学的であるのみならず実存的でもある辺見氏の批評は
、「はてな」でのネット論争を扱ったものとして、小文ながらも白眉の
出来である。
 工藤伸一氏による「萌えロティック・性くノフィリア〜アクトロイド
は無料動画の夢をみるか?」は、ネット上でのセクシュアリティを幅広
く取り上げている。複雑な形で、独自の進化を遂げているネット上のエ
ロスは、多くの男性がアプローチする、ほとんど、ネットの心臓部とも
いえる巨大なコンテンツであるが、未だ、批評によるメスが十分に切り
いれられていない。ネットにおけるエロ系サイトをどう考えるかという
ことは、今後、「萌え」についての考察を同伴しつつ、法規制の問題と
あわせて考えなければいけない、最重要トピックの一つである。エロス
はある側面においては人と人をつなぎ、ある側面においては人を傷つけ
る諸刃の剣である。国際的視点をもってネットカルチャーをとらえると
き、セクシャリティ分析は必然的に前面化せざるをえない。
 中川康雄「アナキズムと生態系の想像力」では、現代思想がストリー
ト系とオタクカルチャー系に分裂している現状を踏まえつつ、両者を架
橋した視点を導入しようとしている。双方への目配りのなせている知識
人が少ないことへの危機感は、論壇においても抱かれるべきだろう。
 座談会「限界フリーターがライトテロル渦巻く10年代をサバイブする
レディオ――『筑波批評2009夏』、『新文学02』、『社会は存在しない
』について」は、藤田直哉、塚田憲史、シノハラユウキ、杉田俊介、松
平耕一が参加した2009年8月8日のニコニコ生放送を文字起こししたもの
だ。ゼロ年代における最重要批評家の一人である杉田俊介氏にご参加い
ただけたのは望外の喜びであった。『ザモスキ』『筑波批評』『新文学
』というゼロアカ道場第四次関門落選組三チームが、ゼロアカ道場につ
いての感想を総括し、また、そこから離れた立場にある杉田氏が、三者
に対して警句を述べている貴重なコンテンツである。異様なムーブメン
トを巻き起こした「東浩紀ゼロアカ道場」について検討するのに、重
要な資料ともなっている。
 「タイ国美少女ゲーム『Re Angel』スタッフインタビュー――ノベ
ルスゲームは国際社会に隆盛しゆくか」では、日本ばりの美少女ゲーム
を開発中であるタイ国の同人ゲームスタッフに、制作にあたってのモチ
ーフをおうかがいした。「萌え」は国際的な美たりうるのか、そこには
何らかの障害も生じうるのか、アジア文化におけるネットカルチャー受
容はどのように進展しているのかといったことを検討するための情報と
して参考にされたい。
 章氏からは小説「椅子」をご寄稿いただいた。この小説はネット論か
らは無関係だが、女子高生の日常に落ちてくる不穏な凶兆の気配を味わ
って欲しい。
 『新大学01』は今後の展開の基軸となる重要なコンテンツが多く集ま
っている。読者諸氏におかれてはぜひ傾注していただきたい。

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・次号『新大学02』配信は今冬の予定です
ぜひ今後ともご期待くださいませ!