評論

外部なき時代の祈りの場所について

宇野常寛氏の新著『リトル・ピープルの時代』を読んだ。前作の『ゼロ年代の想像力』から約3年、久々の単著だ。基本的な主張の軸は前作と変わらないが、変化として感じられたことの一つは、「大きなもの」への想像力を取り戻す思考を目指す、という志向性だ…

大澤信亮「復活の批評」をきっかけに考えたこと。

『文学界』の2010年3月号に掲載されている大澤信亮氏の「復活の批評」を読んだ。一言でいうと、批評を再起動させる場所の確認作業、といえるだろうか。 近年、批評というジャンルの内側で、批評の対象とするコンテンツの違いによる新旧の情報戦が活発化して…

「他者との出会い」による「日常」の侵食〜portB「完全避難マニュアル東京版」から見えてくる風景から〜

1、緩やかに「日常」から「演劇」へと誘う回路 portBの「完全避難マニュアル東京版」では、観客を演劇体験へと誘うために幾つかの媒介を用意している。観客はまずウェブ上のHPにアクセスすることから始める。その導入方法は、それまで劇場に足を運ぶと習…